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「2025年の崖」で経済損失12兆円!?
レガシーシステム見直しと、DX推進のポイントとは?(2/2)

公開日:2024.01.31

     

前回[新しいウィンドウ]は経済産業省の「DXポート」が提起した「2025年の崖」について、DX推進のネックになっている課題と、レガシーシステムの刷新方法などについて解説しました。
それを踏まえて今回は、2023年5月に「DXに関する経済産業省の施策紹介」で発表された様々なDX推進施策と、DX時代の人材像のあり方を示した「デジタルスキル標準(DSS)」を解説します。
さらに「身近な所から始めるシステム内製化」を支援するブラザーの取り組みについてご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

「DXレポート」で提起された「2025年の崖」とは?(前回の振り返り)

      

前回[新しいウィンドウ]は、DXの本質が単に「ITの導入による業務効率化」だけではなく、「企業全体の変革を通した競争優位の獲得」であることを解説しました。そして、多くの企業経営者がDXの必要性を認識しているにも拘らずDXが遅れている原因として、以下の3点を指摘しました。

1) 既存のレガシーシステムが事業部門ごとに構築されているため、全社横断的なデータ活用ができない。
2) 既存システムが、過剰なカスタマイズにより複雑化・ブラックボックス化している。
3) 既存システムの維持・保守に資金や人材が割かれ、新たなDX投資にリソースを振り向けることができない。

こうした課題を放置すると、2025年以降最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性を同レポートは指摘しています。これらを克服するレガシーシステム刷新の対応策として、「DXレポート」が以下を提起していることに触れました。

1) レガシーシステム刷新の目標設定について、経営者をはじめとするすべてのステークホルダが認識とゴールイメージを共有すること。
2) 重要性が低いIT資産についてはサンクコストとして割り切って廃棄し、規模と複雑度の軽減を図ること。
3) システム刷新時にマイクロサービス化することによって細分化し、アジャイル開発により段階的に刷新するアプローチも検討すること。

「DXレポート」の進捗状況と、経済産業省の新たな施策とは?

「DXレポート」が発表されたのは2018年です。それから5年以上が経過した今、DXはどの程度進んでいるのでしょうか。2022年7月に公表された「DXレポート2.2」では、DX推進指標の経年推移から、その取り組み状況を以下のように指摘しています。

1)「2025年の崖」問題の克服状況は順調ではないとの指摘がある一方で、DXに取り組む企業は着実に増えており、かつ先行企業(成熟度レベル3※以上)の割合も増加し続けている。DX推進の取り組みは着実に前進している、と言える。
※成熟度レベル3:2019年7月公表の「DX推進指標」で、DXを全社戦略のもと部門横断で推進するレベルのこと

「DXレポート」の進捗状況と、経済産業省の新たな施策とは?

「DXレポート2.2」参照


2) しかしデジタル投資の内訳は、既存ビジネスの維持・運営に約8割が占められている状況が続いており、DX推進に対して投入される経営資源が企業成長に反映されていない。

「DXレポート」の進捗状況と、経済産業省の新たな施策とは?2

「DXレポート2.2」参照

3) バリューアップ(既存ビジネスの効率化ではなく、サービスの創造・革新の取り組み)においては、実際に成果がでている企業は1割未満に留まっている。サービスの創造・革新の必要性は理解しているものの、目指す姿やアクションを具体化できていないため成果に至らず、投資が増えてない。

「DXレポート」の進捗状況と、経済産業省の新たな施策とは?3

「DXレポート2.2」参照


こうした期待どおりとはいえない状況を踏まえて「DXレポート2.2」は、デジタルで収益向上を達成する特長を「行動指針」として全社へ浸透させるとともに、経営者自らの「価値観」を外部 へ発信させるために「デジタル産業宣言」を策定することを強く提起しています。
同時にDX推進施策として、経済産業省は以下の6項目の施策を打ち出しています。ぜひ参考にし、活用してください。
※詳細はDXに関する経済産業省の施策紹介(2023年3月)[新しいウィンドウ]をご参照ください。

1) DX推進指標(2019年7月公表):各企業がDXを推進していくために、簡易的な⾃⼰診断を行うこと可能とするツール。
2) DX認定制度(2020年11月開始):国が策定した指針を踏まえ「企業がデジタルによって⾃らのビジネスを変⾰する準備ができている状態(DX-Ready)」になっている事業者を認定。
3) 中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き(2022年4月公表):中堅・中⼩企業等がDXの推進に取り組む際に求められること等について事例を交えて解説する「実践の⼿引き」を作成・公表。
4) DXセレクション(2022年3月開始):中堅・中⼩企業等のDX推進と取り組み活性化を目的に、経済産業省がDX優良事例を発掘・選定する新たな取り組み。
5) デジタル人材育成プラットフォーム:地域企業のDXを加速するために必要なデジタル⼈材を育成するプラットフォームを構築し、企業内⼈材(特にユーザー企業)のリスキルを推進。
6) デジタルスキル標準/DSS(2022年12月公表):DX時代の⼈材像をデジタルスキル標準(DSS)として整理。個⼈の学習や企業の⼈材確保・育成を指針化。


DX人材の育成のための課題と対応策を振り返る

さて、DX推進を実現するためにもっとも重要なのは、言うまでもなく人材です。「DXレポート」は繰り返し、DX人材育成の重要性について提起しています。その課題について、主な論点を整理しておきましょう。

1) 日本では、ユーザー企業よりもシステム開発企業(ベンダー企業)にITエンジニアが多く所属しているため、ユーザー企業はベンダー企業に頼らざるを得ない関係が生まれている。開発ノウハウも多重下請け構造の現場に蓄積される傾向が強い。

2) COBOLなどで大規模システム開発を行ってきた人材が定年退職することでノウハウが消失し、既存システムのブラックボックス化が進んでいる。

3) ユーザー企業がベンダー企業に頼らざるを得ない環境では、本来ユーザー企業が行うべき要件定義も含めてベンダー企業と請負契約を結ぶという「丸投げ」状態が多くなる。DXを推進するためにはユーザー企業が開発に強くコミットメントし、実装とテストを繰り返すアジャイル開発が求められるが、その体制が整っていない。

4) 一方のベンダー企業側でも、レガシーシステムに対応できる人材が減少し、クラウドなど新しい技術基盤への移行も急速に進んでいる。人員の逼迫とスキルシフトの必要性はますます強まり、コストが増大する既存システムの運用・保守は維持そのものが困難になりつつある。

こうした課題を解決するための対応策として、「DXレポート」は以下の4点を指摘しています。

1) CDO(Chief Digital Officer)等、ユーザー企業に必要な人材要件を明確化すること。必要なDX人材とは以下のとおり。
・システム刷新をビジネス変革につなげて経営改革を牽引できるトップ人材
・ITで何ができるかを理解し、経営改革をITシステムに落とし込んで実現できる人材
・ビジネス変革で求められる要件をもとに設計・開発できる人材
・生成AIの活用等ができる人材、データサイエンティスト
2) ユーザー企業・ベンダー企業双方の人材育成に繋がるアジャイル開発を実践すること。
3) 新たに整備されたITエンジニアのスキル標準や、情報処理技術者試験を活用し、IT人材の能力明確化とリスキリングを実施すること。
4) 自社のプロジェクトを大学とともに取り組むなど、産学連携による人材育成を推進すること。

普及する生成AIに対応した「DXリテラシー標準」と「DX推進スキル標準」

経済産業省は以上の施策を加速するため、従来の「社会人の常識」とは異なる知識やスキルの学びの指針が必要との考えから、2022年12月に「デジタルスキル標準(DSS)」を公表。ビジネスパーソン一人ひとりがDX に関するリテラシーを身につけることで、 DX を自分事ととらえ、変革に向けて行動するという問題提起を行いました。
※詳細はデジタルスキル標準(改定版):2023年8月[新しいウィンドウ]をご参照ください。

「デジタルスキル標準」は、以下の2つの標準で構成されています。
①「DXリテラシー標準」:ビジネスパーソン全体がDXに関する基礎的な知識やスキル・マインドを身につけるための指針
②「DX推進スキル標準」:企業がDXを推進する専門性を持った人材(ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティ)を育成・採用するための指針

さらに、この1年間で生成AIが急速に普及し、各企業における DX の進展を加速すると考えられることから、2023年8月には「DXリテラシー標準」の改訂版を発表しています。そこでは、生成AIの適切な利用に必要となるマインド・スタンス、基本的な仕組みや技術動向、利用方法の理解、付随するリスクなどに関する文言が追加されました。


普及する生成AIに対応した「DXリテラシー標準」と「DX推進スキル標準」

今後も継続的に施策の見直しを進めるとしており、2023年3月にはデジタルスキルを身につける講座を紹介するポータルサイト「マナビDX 」[新しいウィンドウ]を改訂。様々な研修事業者が提供する学習コンテンツと、「DXリテラシー標準」「DX推進スキル標準」とを紐付けることで、利用者が必要な知識・スキルを効果的に学べるコンテンツを提供しています。ぜひ活用されてはいかがでしょうか。

ノーコード/ローコードによる「身近なシステム内製化」

DX人材の育成には、一定の時間がかかります。しかし、DX人材不足は待ったなしの状況です。そんな時に有効な施策の一つが、「ノーコード/ローコード」開発です。

「ノーコード」はプログラミングの知識・技術がまったくない人でもアプリケーションを開発できる方法で、「ローコード」はプログラミングのソースコードをほとんど必要としない開発方法です。いずれも激しく変化するビジネス環境に迅速に対応する手段として、多くの企業で活用が進んでいます。

「ノーコード/ローコード」開発を利用すれば、IT人材が不足していても、使いやすいシステムや業務に最適化したアプリケーションの構築が可能です。また専門知識・技術がなくても対応できるため、誰でも保守・管理をする可能性が広がる上に、既存のレガシーシステムの維持コストも削減できます。つまり、「2025年の崖」で指摘された多くの課題を解決するDX推進の切り札とも言える方法なのです。

ブラザーのパートナー企業・アステリア株式会社が提供するモバイルアプリの作成ツール「Platio」も、その一つ。自社の現場業務に合ったモバイルアプリを、ノーコードで簡単に作成できます。

例えば、修理報告や棚卸、工場日報、配送報告など、100種以上のテンプレートから現場の業務に合ったアプリを簡単に作成し、すぐに現場で活用できます。現場スタッフが使いやすいシンプルなUIで、迷わず直感的に操作が可能。自動入力や前回値の保持、文字認識などの入力補助機能により、現場担当者の負荷を極力まで低減できます。また、テキストや数値に加え、写真や動画、位置情報、QRコード/バーコード読み取りなど、多様なデータ入力形式を活用できます。QRコードについてはアプリ内で生成することもでき、そこからブラザーのモバイルプリンターで出力することもできます。

こうした施策を実行し、直近にせまった「2025年の崖」を力強く克服していきましょう。

Platioの詳細はこちら[新しいウィンドウ]


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●ブラザーは「身近なシステム内製化」を、積極的に支援します!

①b-PAC:多彩なラベル出力を容易なプログラミングで実現!(無償)
専用エディターを使用することなく、Microsoft Visual Basic、Microsoft Excel、VB Script 等で作成されたお客様のシステムから簡単に出力できます。
定型のラベルレイアウトにデータベースからデータを入れ替えてラベルを印刷したい方、ラベル出力作業を自動化・シンプルな操作にして業務を効率化したい方に最適です。
b-PACの詳細はこちら[新しいウィンドウ]

②モバイルSDK:開発者のプログラムに数時間で印刷機能を追加!(無償)
ブラザーの SDK を使用すると、簡単に印刷機能を持たせることができます。
必要な印刷プログラムを開発するのは、非常に複雑で、通常は何週間もの時間を要します。ブラザーの SDK は、開発者の方がご自分のプログラムに、数時間で簡単に印刷機能を追加していただけるように、開発されました。
モバイルSDKの詳細はこちら[新しいウィンドウ]

③P-touch Editor:超カンタンに、オリジナルラベルを作成(無償)
専用ラベルソフトウェア「P-touch Editor」では、様々な用途のラベルテンプレートを豊富に用意しています。お好きなラベルテンプレートを選択し、文字等を差し替え、編集頂くだけでオリジナルのラベルが簡単に作成可能です。
P-touch Editorの詳細はこちら[新しいウィンドウ]

④その他の「身近なシステム内製化」支援
PC/サーバーのアプリからラベルを印刷する方法[新しいウィンドウ]
PLC・電子計測器・ロボットなど組み込みシステムからラベルを印刷する方法[新しいウィンドウ]
P-touch Editor導入事例「イグアス様」[新しいウィンドウ]


※「DXレポート」は、以下より参照いただけます。
◾️経済産業省DXレポート(サマリー):2018年9月[新しいウィンドウ]
◾️経済産業省DXレポート2(サマリー):2020年12月[新しいウィンドウ]
◾️経済産業省DXレポート2.2(サマリー):2022年7月[新しいウィンドウ]
◾️DXに関する経済産業省の施策紹介:2023年3月[新しいウィンドウ]
◾️デジタルスキル標準(改定版):2023年8月[新しいウィンドウ]

   
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ブラザー販売 ビジネスNAVI 編集部

ブラザー販売、ビジネスNAVI担当者です。ビジネスNAVI編集者として、トレンドコラムやお客様の導入事例、パートナー企業、製品のソリューション情報などを発信していきます。

   

※この記事の内容は、2024年01月現在のものです。
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